11月29日の夢(最後まで走れ)

 同僚たちも忙しそうだが、ぼくも忙しい。だが、みんなが短期的な〆切に追われているのに、ぼくだけはずっと先の〆切を目指して仕事をしている。ぼくのデスクの一番下の引き出しに、来ている原稿はまだ一つしかない。でも、ぼくはその分厚い原稿の束に緑色の太いペンで訂正や注釈を書き込むのに余念がない。
 同僚の女性がテレビを見ながら「最近のランナーはみんな、自分が速いことを見せようと、すごいスピードで駆けだすけれど、途中でわざと転んでしまうのよね。ほら、中国人のこの女の子もちょうどいいところで転んでるでしょ」と言う。「でも、私は祖父に言われたの。どんな小さな競技で走っても、それはすべて国際陸連に記録されている。だから、必ず最後まで走りなさいって」。

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