地下鉄に乗っていると、急ブレーキがかかって停止してしまった。まるで時間が止まってしまったかのような中、先頭の車両から線路に降りると、レールの真ん中に穴があいていて、そこから工事のヘルメットをかぶった若い女性が首だけを出している。線路のかたわらにも別の女性のいる気配がある。首だけ出した女性は「また会ったわね。私たちはエスは交わしていないけれど、詩人よね」と言い、ぼくにさまざまな深い真理を含蓄のある言葉で教えてくれる。そして「もっと教えてあげたいことがあるから、また会いましょうね。今度、ランチの後であそこへ行きましょう」と言う。ぼくは時間がないし、そんなことは迷惑だなと思うが、彼女たちは魔術のような力で、時間を止めてしまえるから、問題は起きないのかもしれない。「あそこ」とは秘密のバーのようなところらしく、そこへ行けばぼくはとても大切なことを彼女たちから教われるのだ。首だけ出した地下の女性はぼくに「きっときっとよ。約束してよね」と迫る。
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