5月11日の夢(死んでバスに乗る)

 ぼくは死んだ。死んだ人たちはここでバスに乗る。
 バスには二つ行き先がある。お尻を鞭打ちされた後、もう一度生まれ変わる道と、もう二度と生まれ変わらずこのまま死んでしまう道とだ。
 ぼくは最初、生まれ変わるつもりだったが、最後の瞬間に気が変わり、発車寸前の「永遠の死」行きのバスに飛び乗る。このバスは最後部が観音開きのドアになっている。満員で、ぼくのすぐ前には大腸がんのデザイナーFくんの背中が見える。彼は白いタオル地のガウンのようなものを着ているが、けっして後ろを振り返らない。前の方から「もうこのバスは満員で、一人も乗れないよ」という声が聞こえてくる。けれど、ぼくは何としても乗りたいと、無理やり体を押し込み、バスはぼくを乗せて発車する。
 
 机の上に何冊もの書物が置いてある。上から一冊ずつ手に取って見ていくと、一番下に「解答」という題名の本があった。思わず表紙をめくるが、中身を読まないうちに目が覚めてしまった。

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