3月11日の夢(アラーキー)

 夜、男女の二人連れと書店に入る。ふと見ると、早稲田詩人会の後輩だったTくんがいる。声をかけると、「やあ、ごぶさたしてました」と明るい笑顔を見せてくれる。だが、病気の噂も聞いていたので、体調を訊くと、ふくらんだお腹をぼくに見せる。そこには出っ張りのようなものが見える。腫瘍だろうか。「これがあちこちと位置を変えるんですよ」と、何でもないかのように言う。ぼくはさっきの二人連れに別れを告げ、Tくんの後について外へ出る。彼は「いっしょに写真を撮ってもらおう」と言う。アラーキーがそこにいて、本格的なセッティングをしてぼくらを待っている。ポーズをとって、彼の写真におさまるが、いつのまにかTくんはさっきの女性に変わっている。なぜかシャッターは十数秒、音を立てて開放されたままだ。その間じっとしていなくてはいけないのに、ぼくの体は緊張のあまり前後左右に大きく揺れてしまう。

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