3月25日の夢(撮影所)

 自転車で早稲田大学文学部のキャンパスの坂を登っていく。だが、目的地を間違えたことに気づき、Uターンして校門を出る。堀の向こう側は撮影所の敷地で、オープンセットがそのまま展示施設になっている。まだ開聞時間前だが、無理に入れてもらう。
 グループの一人の男性が「そこの入り口には昔はずらっと普通は海兵隊が並んでいたものだが、変わったもんだなあ」と慨嘆したように言う。オープンセットは時代物だが、すぐ向こうの道路を車が走り、電車が走っているのが見える。壁に「愛している」という文字が刻まれている場所は、きっと牢獄のセットなのだろう。市川昆監督の映画フィルムの一部が展示してある。窓際には障子がたくさんあり、みんな嬉々として、糊をハケにつけて障子紙を張っている。「一色さんはまだ張ってないよ」という声がする。一人の女性が「きゃっ」と悲鳴を上げるので、「びっくりさせるなよ」と振り向くと、泣きそうな顔で「だって、ビリっときたから」と言う。その瞬間、ぼくも「あっ、ビリっときた」と叫ぶ。頭のてっぺんに天井から何かが落ちてきたみたいだ。「あっ、まただ」と、ぼくは声を上げる。

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