映画作りと鉄板焼き

 仕事でPR映画を制作している。他社の作った映画から一部のシーンを借用することになった。その台本を入手して、ぼくが問題の場面を書き写して、台本を作る。ところが、実際に編集したフィルムを試写してみると、ぼくが書いた台本とは随分違い、時間も短くカットされている。しかも、出演している俳優は3人だけで、その3人がとっかえひっかえいろんな役を演じているので、なんだか変な感じだ。
 会議が長引くので、食事になる。バーベキューのような鉄板焼きが室内で始まった。そんな食事はどうでもいいから、早く会議が終わってほしい。でも、映画のスタッフは、こうやって長い打ち合わせを延々とするのが好きなんだよな、と思う。リーダー格の男性はぼくより若いが、びしびしとさまざまな指示を出す。ぼくより才能があるんだから、命令されてもしょうがないよなと思う。彼は自分の箸をひっくり返して、握り側で鉄板焼きの具をつまんで食べる。ぼくは手を伸ばして、そのまま箸のとがった側で具をつまんで食べる。ふと気がつくと、もっとぼくの位置から近いところに別の鉄板焼きがある。そちらをつまんだ方がよかったなと後悔するが、そっちは既に女性スタッフたちがあらかた平らげてしまっていて、殆ど残っていない。

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