8月25日の夢(羊雲とケーキ)

 どこかのホテルに宿泊している。食堂に行ってみたが、深夜のコンビニのように棚はすっかり商品がなくなっていて、がらんとしたショーケースにケーキだけが残っている。貴重な食料としてケーキをかき集めるようにして、部屋に持って上がる。
 隣の部屋で子供や大人のグループが楽しそうに歌ったり踊ったりしている。ギターをかき鳴らして歌う若者たちがベンチに重なり合って坐っている。彼らは何かを売っているようでもある。だが、近づいてみると、もうその部屋には誰もいない。
 自分の部屋に戻ると、同宿者らしい若い男3人がいて、ぼくのケーキにおおいかぶさるようにして、「これは俺の、これはお前の……」と品定めをしている。ぼくは慌てて「これはぼくのものだ」と言って、ケーキを奪い取る。彼らは不満そうな顔をしているが、何も言わない。おまけにテーブルの上には大きなカステラケーキが載っている。それなのに、ぼくのケーキを奪うなんて太いやつらだ、と腹が立つ。
 同じ建物の中にある印刷所に8ページのペーパーをレイアウトして半分入稿してあった。残りを入稿しようと行ってみると、印刷所のスタッフは誰もおらず、詩人の白石かずこさんがいた。ぼくは「残りの入稿をしたいのですが、白石さんにお願いしていいですか」と言い、説明しようとする。だが、既に入稿した部分がないので、白石さんに何と説明していいか分からない。原稿のかわりに、ぼくの手にあるのは、しわくちゃの包装紙にくるまれた反故紙みたいなものだけだ。いつのまにかぼくらは建物の外に出ている。空がとても広い。羊雲が浮かび、澄んだ空はすっかり秋の気配である。

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