2月18日の夢(消えた羽田空港)

 フランスにようやく留学できることになり、出国審査の行列に並んでいるが、審査官がいなくなって、なかなか列が進まない。やっと帰ってきたと思ったら、その風采の上がらない中年の審査官は「鉛筆を貸してくれ」と言う。しかし、審査官の目の前の籐で編んだ籠には、よく削られた新品の鉛筆が沢山ある。「ここにあるじゃないか」と、その一本を手にとって渡そうとすると、「削り立ての鉛筆をおろすのはもったいない」と言う。審査官の前に使い古しの鉛筆が一本落ちていた。「ここにあるじゃないか」と、もう一度言い、ぼくはその鉛筆を拾って渡す。審査官はその鉛筆で書類をチェックして、「はいどうぞ」とぼくを通してくれる。しかし、チケットを渡してくれないので、要求してやっと貰うことができた。この男は本当に審査官なのだろうか。
 これで、本当にフランスへ旅立つことができるのだ。ぼくはフランス行きの飛行機で大空へ舞い上がる喜びを想像しながら、勇んで羽田空港への道を歩いていく。途中、舗道が仕切られて、一団の婦人警官たちが訓練を行っている。片側に細い通路があるので、そこを通ろうとすると、向こうから教官らしい婦人警官がその通路を歩いてくる。一人分の幅しかなく、すれ違うのは難しいが、ぼくは急いでいるので、無理矢理彼女の脇をすり抜ける。そこを通り抜けたところで、はっとする。行けども行けども羽田空港がないのだ。しまった。道を間違えたのか。いや、そうではない。あの羽田空港は消え失せてしまったのだ。悲しくて泣きそうになる。

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