輝く雲と樹木

 誰かの家に妻と遊びに行った。襖を開けたままの隣の部屋に、Yさんが入っていき、そこに足を投げ出すようにして座っている。そこへはさらに二人ほどの女の子が入っていったが、Yさんとは話もせず、彼女は一人でいる様子。そのうち、その部屋で一人の女性が服を着替え始めたので、驚いて目を向ける。だが、それはYさんではないし、また単に上着を着替えただけで、何もエロチックな着替えではなかった。
 また玄関に新しい客が現れた。初老の男性だ。妙ににこやかなので、思わず挨拶しそうになるが、全然知らない男だ。
 妻とぼくは第三の部屋に行く。そこには大きな窓があり、窓の向こうに猫じゃらしの穂のような形の縦に長い真っ白に輝く雲が、地上から生えている小ぶりなヒマラヤスギのような木の上にあるのが見える。もっと窓に近づくと、雲の下部と樹木だけがアップで見える。発光する純白の雲の底と樹木の間には、にょろにょろした触手とも、樹木のつるとも見えるものが何本も絡まり合っている。妻は「あれは雲が新しい若芽を食べているのね」と言う。
 外が騒がしくなった。出てみると、混雑した道路に、車にまじって結構大きな船が止まっている。それが潜水艦のように一度地中に潜り出すが、また地上に戻ってきた。それは北海道へ行く新興宗教の団体の乗り物らしい。船の上で歌が始まり、船を囲んで飛び降りた信者たちが手拍子を打っている。ぼくも野次馬になって見守りながら、手拍子を打つ。だが、ふと気がつくと、周りにいるのは信者たちばかりだ。慌てて逃げようとするが、すぐに屈強なおばさんにつかまってしまい、ぼくは彼女に殴る蹴るの暴行を加えて、脱出を図る。たちまちほかの信者たちもぼくを取り囲み、乱闘になった。ぼくは実は刑事で、格闘技の腕には自信がある。同僚の刑事が「一色さん。素手ではあまりに危ないですよ。これを使ってください」と渡してくれた武器は、プラスチックのちり取りだ。こんなふにゃふにゃなもので相手をこずいても、大したダメージを与えられそうにない。

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