6月12日の夢(だまし絵ビル)

 イタリアだろうか、外国の街にいる。ぼくと詩人のA氏、それに若い女性の三人で落ち合い、十階建てくらいの四角いビルに突入する。そのビルでぼくらは階段を駆け上りながら敵と対決し、ついに彼らを打ち破った。だが、最後はぼくらもビルの屋上に追い上げられてしまい、息も絶え絶えのありさまだった。
 屋上にはベンチがいくつもあり、そこここにカップルが休憩したりしている。中に小さな幼児がいる。彼は突然、右側のフェンスを乗り越え、あっという間に地上へ飛び降りる。だが気づくと、彼は地上に安全に着地している。高層ビルだから地上との間は相当な距離があると見えたのだが、この風景は実はだまし絵になっていて、右側の地面まではおとなの背丈ほどしかなかったのだ。
 ぼくとA氏は街頭で別れ、互いのホテルに帰ることにする。タクシーを拾おうとするぼくに、A氏は「確か一色さんのホテルはここからすぐだと思いましたよ」と言う。見回すと確かに、そこはぼくが今朝出発した風景のように思われる。電柱の住居表示には「〇〇一丁目」とあるが、確かホテルは「〇〇二丁目」だったはずだ。ぼくはそこから斜めに続いている路地の奥を眺める。そこにホテルがあったような気がする。
 ぼくは日本に帰るため、空港に行こうとする。それにはバスがいいのか。それともタクシーがいいのか。道が分からないので、誰か日本人か日本語がわかる人を探す。建物の中で、赤い服を着た日本語を話す二人連れの女性を見つける。話しかけると、丁寧に道順を教えてくれた。

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