6月6日の夢(大詩人の講演)

 千駄ヶ谷にあるレストランYの跡地がぼくの新居になり、モノクローム・プロジェクトの事務所にもなっている。戦争か災害があって、東京が廃墟になり、その後ここにぼくは暮らすようになったらしい。玄関から階段で一度地下に降り、そこから階段でまた半地下に上る独特の構造の建物だ。
 今日はここで大詩人A氏による講演がある。某詩人会で行われた二回の講演に続く、第三回目の講演だという。こんな場所で講演してくださるなんて、とても名誉なことだと思う。
 突然、玄関につながる地下道の暗闇から大きなノックの音が響く。A氏の到着だと思い、急いで迎えに出るが、誰もいない。不思議に思って会場に戻ると、既にA氏は演壇の椅子に腰かけ、聴衆も着席している。満員にはほど遠いが、こんな小さな会場なのだから、これで十分だろう。司会を担当するぼくは「えー、詩人会での二回の講演を受けて、三回目は……」と話し出すが、肝心の演題を書いた紙を隣の部屋の机に置き忘れたことに気づく。慌てて探しに行くが、見当たらない。考えてみると、着ている服も普段着で、司会者にはふさわしくない。奥に洋服ダンスがあるので、開けてみるが、タオルや毛布しか見当たらない。困っているうちに開演時間をもう五分間も過ぎてしまった。

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