11月6日の夢(退職する日)

 今日はぼくが会社を定年退職する日だ。にもかかわらず、今日も定時を過ぎて仕事が終わらない。でも会社と同じ建物の一角に裁判所があり、ぼくはそこで裁判員裁判に出なければならない。
 裁判には裁判官のほか三名の裁判員が出席しており、そのうち一名は中年の婦人だ。ぼくひとりだけが夕食がまだだったので、片手にチャーハンの皿、片手におかずの皿を持っている。いったん休廷になったので、外へ出てみると、隣は貧しい人々のための給食室で、親子がつめかけて食事している。ぼくのチャーハンもこの部屋で貰ったのだろう。裁判員の婦人もいつのまにか給食室にやってきている。
 裁判所の入り口は横開きのドアだ。その前にぼくが正座して覗き込むと、裁判官が「被告の言うことはでたらめだ! まことしやかなことを言うくせに、自分の正体をばらすようなことを言う」と、吐き捨てるように叫ぶ。ぼくは被告の言うことを本当だと思いかけていたので、ちょっとがっかりする。塀の外を被告が一匹の犬を連れて、トボトボと歩いていく影絵のような後姿が見える。
 さて、ぼくは今日で会社勤めを終わったが、裁判は明日からも続く。それをまだ妻に言ってなかったので、帰宅したら一番に言わなければいけないなと思う。

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