5月19日の夢(鍾乳洞トイレ)

 子供時代を過ごした名古屋の生家がぼくの勤める会社のオフィスになっている。編集室は畳敷きの居間だ。騒然とした中に新入社員の女性たちが今日から出社してきた。以前に他社で編集長をしていたといい、その時代からの部下も一緒だ。いかにもできる女という感じである。二人はとても忙しそうだが、ぼくは暇なので会社を出て、裏手にある都電にどこへ行くあてもなく乗り込む。銀座が終点のはずだが、窓から見える景色はいつまでも下町のままだ。街並みの上に東京タワーが見えてきたところで電車を降り、対向の電車に乗り込んで会社に戻る。
 編集室と廊下をはさんだ壁に二つのドアがある。トイレのドアだ。右のドアを開けると内側にさらにカーテンが降りている。それをめくると、中に男性が入っているのが目に入る。慌ててドアを閉め、今度は左のドアを開ける。その中は巨大な鍾乳洞のようなトイレで、右下にさっきのトイレで屈んでいた男性の姿も見下ろせる。二つのトイレは中でつながっていたのだ。
 夕方になり、お腹が減ったので、何か食べ物を買おうと外に出る。ビルの前に食べ物を売る屋台が並んでいて、コックの衣装を着た50代くらいの男性が店番をしている。右隣の屋台のおやじに彼は「こんな人通りのない状態で売れるかなあ」と話しかけている。ぼくはそのすきに、以前にその屋台で買ったエビフライの皿をこっそり店先に置いて立ち去る。

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