2月21日の夢(上映会)

 ぼくの務めている会社が主催する映画の上映会が新宿で行われることになっている。障碍者のための催しだが、ぼくもそのレポートを書くために参加しなくてはいけない。
 雨は降らないと思っていたのに、会社を出たとたん雨が落ちだした。だが、障碍者の人たちは一人も引き返そうとしない。ぼくもそのまま歩いていくと、新宿西口のロータリーに屋根のない円形劇場があり、何かのイベントが催されている。みんなその客席を突っ切っていくのでぼくもそうする。だが途中でみんなから随分遅れてしまう。
 ようやく映画館に着き、レポートを書くためにノートを取り出そうとする。だが、夢日記ノートはもう最後のページまで書ききってしまっていて、余白がない。カバンの中にあった封筒を何枚か取り出してみるが、それらもぎっしりと文字が書かれている。荷物を包んでいた包装紙をびりびり引き裂き、その破片に懸命に映画の内容をメモするが、最後まで書ききらないうちに昼休みになってしまった。会社に戻らなくてはいけない。
 戻る間も、路上を歩きながらメモを続け、何枚か書き終えたところで、手の中のメモを改めてみる。ところが不思議なことに、映画のメモだけが見当たらず、あるのは他のことを書いたものだけだ。
 新宿のそこここで道路工事が始まっている。路面が通行止めになって大きな穴が掘られたり、溝を熱いどろどろの液体が流れてきたりしだした。気がつくと、ぼくの立つ僅かな場所を除いて、前後左右どの方向も立ち入り禁止になっている。しかしよく見ると、熱い液体と思っていたものは冷たい水に過ぎない。飛び石をわたって、何とか工事現場を抜け出すことができた。
 会社の玄関に着いた。その周りは一面半透明なビニールカバーが天井から吊るされていて、迷路のようになっている。見通しがきかないので、いったんその中に入ると、どこが入り口でどこが出口かも分からない。玄関ロビーには長デスクが置かれ、眼鏡をかけた女性が尊大な様子で椅子に座り、じっとこちらを見ている。ぼくは彼女に「入り口とか出口という札をビニールに貼っておけばわかりやすいのに」と提案する。だが彼女はにこりともせずに言い返す。「それをあなたが提案できるかどうか、テストしていたのよ。あなたは自分が健常者だと信じているけど、本当はそうじゃない。みんなと同じなのよ」。

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