詩の合評会の会場に行くと、旧S社のKa社長と「P誌」創刊時の編集長Ki女史がいる。社長はとうに亡くなったはずだし、編集長は高齢で何もかも忘れてしまったと聞いたのに、二人とも若くて元気そうだ。懐かしい詩人たちの顔も見える。
会合が終わると社長は隣室に立ち去る。けれど持ち前の大声は健在で、開け放したドアの向こうからこちらに会話が丸聞こえだ。編集長は別の女性と立ち話の最中だが、それに割り込んで「P誌のことをみんな忘れてしまったなんて、うそでしょう?」と話しかける。しかし彼女はうっすらと笑うばかりで、答えようとしない。「では電話番号を教えるわ」と言うので、慌てて鞄の中からメモするものを取り出す。中に入っていたのは、この夢日記のノートだけだ。しかしどのページもぼくの夢の記録だらけで、彼女の言う電話番号を書き取ろうとするが、何度試みても手が途中で震えたり、スペースが足りなくなったりして、書くことができない。「あなたは私の電話番号を聞きたいんでしょ? ならばその数列を全部書けるスペースを出しなさい!」と威嚇するように、ぼくに言う。
その瞬間、隣にいた頭の禿げた痩せた老人が立ち上がり、ぼくにキスをしようとする。ぼくは激高して「何をするんだ!」と怒鳴りつける。