会社が早退できたので、午前中から前衛劇を観に行く。白亜の映画館が会場だ。二階のホールの床いっぱいに若者たちが寝転がったり、さまざまな作業をしている。これらの行為全体が演劇なのだ。足の踏み場もないホールの一角に小さなスペースを見つけて座り、ぼくも劇に参加する。
お昼休みに外に出ると、街の広場を数十人の若者たちがデモのように行進していく。これも演劇の一部らしい。彼らは全員頭に緑色のヘルメットや頭巾をかぶっている。
午後の部を観るために再び館内に入る。今度は午前中とは別のスロープを登って二階に行く。途中で階段がひどく急になり、ぼくの左足が上がらなくなる。知人の女性は階段一段ごとに寝袋のような袋にくるまって登っていき、「こっちの方がいい」と言う。だが、それでは途中で体勢がさかさまになってしまうので、「ぼくは遠慮します」と答える。
やっと二階にたどりつく。フロアはますます足の踏み場がなく、しかも足元にちろちろと炎が燃えている。ようやく火のない場所を見つけて立つが、腰を下ろすこともできない。