夕闇が降りてくる頃、軽井沢のような山道を歩いている。向こうから馬車やサイクリングの外国人たちがやっきて擦れ違う。早く目的地に着かないと日が暮れてしまうと焦り、ぼくも急いで彼らの後を追う。
着いたのは市役所だった。狭い室内はゴミ屋敷のようで足の踏み場もない。男性職員が一人だけ席に座って仕事しているが、ぼくには目もくれない。市長室に入ったぼくは市長の椅子にしばらく腰かけてみる。しかしあまりに敬意を欠いた行為だと思い、立ち上がって部屋から出る。瓦礫をよけながら数段階段を降り、玄関を出ようとする。エントランスの地面には一面に毛虫や芋虫が這っている。ぼくは地面すれすれに体を傾けながら、そこを擦り抜けようとするが、今にも虫たちのいる地面に体が触れてしまいそうだ。