会社に行くと営業部長のMが「話がある」とぼくを廊下の片隅に呼び出す。その途中、擦れ違いざま経理の女性がぼくに交通費の入った封筒を手渡し、「まだあるんじゃないの?」と訊いてくるが、「いやもうない」と答える。Mは「今きみの抱えている仕事がひと段落したら、パイプオルガンの資料を作ってくれないか」と打診してくる。「今、オルガンといえばインフィニティのことですよね」とぼくは答える。
そこで夢が途切れ、ぼくは会社の外に出て電車に乗る。電車の中に乗客の姿はほとんどなく、かわりにこの鉄道の職員たちがいっぱい乗車している。奇妙なのは彼らがカーキ色の戦闘服のような制服を着ていることだ。
駅で降りると、そばに鉄橋がある。水害の痕が生々しい。地元の人々と共に「ここまで水が来たんだね」と話し込んでいると、足元の黄色い水溜まりがどんどん大きくなってくる。どうやらコンクリートから湧き出してくるらしい。パイプオルガンの資料を書こうとしていたぼくは、慌てて手にしていたマウスを水に落としてしまい、ジューッという音がする。ああ、これで一巻の終わりかと思う。