6月11日の夢(庭師)

 家に帰ると、そこは名古屋の今はない実家だった。庭に小さな焚き火がされていて、そのそばで二人の庭師が地面に足を投げ出し座り込んで休憩している。そのかたわらで家の番犬も寝ている。いったん家に入ってからもう一度庭を見てみると、番犬はさらに図々しくなったようで、庭師の伸ばした足の上に枕がわりに顎を置いて寝ている。
 母に「あの庭師はどうしたの?」と尋ねると、「6時には帰ると言っていたんだけどねー。でも、庭師賃はただなのよ。どうせ家には持って行かれて、困るような高価な薔薇も植えてないし、大丈夫よ」と言う。それじゃ、おやじの仕事の関係(ぼくの子供時代、父はゴルフ場の支配人をしていた)の庭師さんなんだね」と、ぼく。「そりゃそうさ。家で雇うわけがないよ」と母は言いつつ、「そういえば」と言って、写真を取り出す。「さっきこの子が遊びに来たんだよ」と、ぼくにいろいろな写真が細かくコラージュされたノート大のプリントを見せる。そこには若い女性の顔が二カ所くらいに印刷されている。それは「夢の解放区」創設当時のメンバーの景さんだ。ぼくはそれを見て、「研ナオコに似てるな」と思う(夢ではそう思ったけれど、目覚めて覚えていた顔は木村カエラに似ていた。現実の景さんは工藤静にそっくりだったけれど)。ぼくは「この子は昔は素朴な娘だったのに、結婚してからだんだん垢抜けてきたんだね」と、感想を述べる。
 それから、ぼくが両腕にいっぱいの本を、まるで剪定した枝のように抱えて庭の方に行くと、ちょうど庭師たちが帰るところだった。ぼくは慌てて両手に抱えていた本を畳の上にどすんと落とし、彼らを見送りに出る。

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