オフィスで企画書を書き上げる。クライアントのどの担当者にプレゼンすればよいかを確認し、手帖にメモをとる。そこへどやどやと同僚たちが現れて企画会議になる。ぼく一人でユニークな企画を出そうとしていたのに、いつのまにか全社的な平凡な企画になってしまったのが残念だ。
プレゼンのため同僚たちと外に出る。路面は積もった雪が融けかけていて、とても歩きにくい。スニーカーをはいてはいるが慎重に歩いていく。「そういえばぼくが会社を留守にしていた間に、レギュラーの仕事が一つなくなったんだね」とぼくはみんなに聞こうと思うが、その瞬間足元にあいた大きな穴に気をとられ、話すタイミングを失う。このままこの問いは永遠に言わないままになるなと思う。