1月15日の日記(脱線電車で行こう)

 出勤のため電車に乗った。一番前の席に座る。見ると運転手はぼくの勤める会社の社長ではないか。

 その運転は危なっかしく、たちまち電車はレールを外れ、道なき道を走り出す。ちょっとハンドルを切るだけで、大きく蛇行運転するので、危ないことこの上ない。すぐにコンクリート道路の端から左側の崖を転落してしまいそうだ。ようやく停車場にたどりつこうとするところで、電車は大きく左に傾く。恐怖にかられたぼくは窓から脱出する。そこには有刺鉄線が張られていたが、痛みも気にせず、ぼくはそれを乗り越える。

 おかげで少し遅刻したが、「おはよう」と周囲に声をかけながら出社する。オフィスは畳敷きで、そこに座布団を敷いて座る。気がつくと、慌てて窓から飛び出したので、ズボンをはき忘れている。やばいとうろたえるが、派手なデザインなので、半ズボンに見えないこともない。そのままひざ掛けをしてごまかす。

 オフィスの縁側近くにいろいろな品物がたくさん並べられている。ぼくが置いたものらしい。庭に降りて土の上にスリッパで文字を書く。「ツツミ……」で始まり、最後は「ツ」で終わる。だが「ツ」という文字がなかなかうまく書けない。同僚が「これは何?」と尋ねてくる。「一応、占いとかしますんで、これは屋号なんですよ」とぼくは答える。

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