一人の女性と二人の男性とタクシーに分乗して、地方都市から新宿の南口までタクシーでやってきた。男性の一人は松岡正剛氏だ。ぼく以外が割り勘でタクシー代を払い、男性二人は車を降りて街頭に消えていった。すると、女性は「このまままっすぐ帰れることが分かったから、これで帰ります」と言う。今出発してきたばかりの地方都市の自宅にこのまま帰ると言うのだ。彼女はぼくの右側に乗っていたが、そちら側のドアを開けて、左側から乗り込み、無理矢理ぼくと席を交替する。それを見た運転手は、タクシー代がさらに追加されるのだからと、慌てて車を降りて、松岡氏らを追いかけ、割り勘でさらにお金を払ってもらおうとする。ぼくは運転手を制して、「女性の運賃はぼくが払う」と言う。そしてズボンのポケットに手を入れるが、そこにあるはずの財布がない。少し不安になるが、かわりに四つ折りに畳まれたお札二枚が手に触れたので、それを引っ張り出して運転手に払う。一万円札のつもりだったのに、最初のお札は開くと千円札で、これではとても足りない。もう一枚を開けると、それは五千円札だったので、それを運転手に渡す。
いつのまにか、ぼくは地方都市にいる。そして、「ここから新宿まで走って帰れそうだ」と言い、実際に町の中を走り出す。
またもや地方都市の、今度は電車の駅にいて、ぼくは帰宅するために「新宿」と言って、切符を買う。ホームには昔の箱型をした古い三両連結くらいの電車がいて、それは急行電車だ。電車は出発間近で、ぼくの前を走っていく中年女性に駅員が「指定券は中で買えるから」と言い、女性はそのまま走って電車に乗り込む。ぼくだって走れば十分乗れるだろう。だが、ぼくは指定券を買っていないのに、無理して乗り込むことにためらいを覚える。そうしているうちに列車はぼくを置いて、出発してしまった。
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町の中を走り回っている一色さんを想像して、思わず笑ってしまいました。
松岡正剛氏はいいですよね。
あの町から新宿まで走って帰ったら、どのくらいかかるかなあ?