7月31日の夢(枕と共に渋谷をさまよう)

 渋谷の街をさまよって、おいしいコーヒーを飲める喫茶店かレストランを探している。確か、このビルにいい店があったと思い、開きにくい黒いドアを無理に押し開けて中に入ると、内部は工事中だ。以前は白かったドアがそういえば黒くなっていたのは、閉館されていたためなのかと気づく。それにしても、ビルの床は工事に携わる人夫たちの吐いた唾でいっぱいで、あまりにも汚い。
 外へ出て、大学街の方に行ってみる。すると、奥の校舎は解体工事中だ。この街ではもうおいしいコーヒーは飲めないのだなと思う。ふと気づくと、ぼくは手に紙コップを持っていて、中にはインスタントコーヒーが入っている。あきらめて、それを飲みながら駅の方に戻る。電車に乗って、原宿まで行けば、おいしいコーヒーが飲めるかもしれない。
 ホームに出ようとしたのか、ぼくはエレベーターに乗り込んだ。家族連れがいっしょに乗り込んできて、男の子が突然、投げ縄でぼくの体をぐるぐる巻きにしてしまった。父親が子どもに「やめなさい」と窘め、ぼくも子どもを「やめろ!」と怒鳴りつける。
 そんなことをしている間、エレベーターは止まったままで、全然動こうとしない。エレベーターの奥には、枕を持ったやせた青年がいたが、彼が不審に思ったらしく、前に出てきて、操作盤を眺める。すると、誰もボタンを押していなかったのだと分かる。彼が階数ボタンを押すと、ドアが閉まって、エレベーターは動き出した。
 ぼくは彼から枕を受け取って、二階で降りた。そこは二階のはずなのに、地平線まで緑の草木がおいしげって、とても素晴らしい場所だ。空中公園なのだろうか。枕をくれた青年と目が合い、思わずにっこりとぼくらは目礼を交わす。そして、枕をどこに捨てようかと悩みながら、公園の中をさまよい歩く。

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