2月25日の夢(美しいもの)

 沖縄の民宿に滞在している。知能に障害のある男の子が遊んでいる。彼は美しい小さな小物を作るのが得意で、金魚鉢のような透明ケースの中に、主にブルー系の美しいものを沢山入れて、大事にしている。ぼくが「一つほしいな」と声をかけると、男の子の世話をしている女性が「おじさんが一つほしいんですって」と言ってくれる。男の子がはにかみながら選んでくれたのは、汚れたビニール袋だ。ぼくはちょっとがっかり。だが、よく見ると、袋の中に美しいものが沢山入っているのだった。ぼくが喜ぶと、女性も、「ねっ」と言うようにぼくにほほえむ。
 民宿の外に停めてある車に戻る。何か男の子にお返しにあげられるものはないだろうか。ふと見ると、助手席の床にどこかで買ったらしい、美しいものがいっぱい詰まった四角い箱が転がっている。その中にけん玉があった。しかし、紐が長くて、とても複雑にからまっている。それをぼくは懸命にときほぐす。これを実演して見せたら、男の子はこのけん玉をほしいと思ってくれるだろうか。
 いつのまにか夜になっていて、星が美しい。そこへ「Pの本」元編集長のK女史が現れる。「あらまあ、東京で会わなくて、こんなところで」と、お互いににこやかに挨拶をする。この民宿でこれからS社のOB・OGを集めて、不振を極めているピアノの仕事のてこいれのための会議が開かれるらしい。

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