7月1日の夢(98番の女性)

 出張で大きな会社の事務所に一人で乗り込む。ここは満鉄の本社だ。既に会社は危機にひんしていて、混乱を始めている。金持ちの女とその息子を相手に、ぼくは一芝居うち、当面の危機を乗り切るが、崩壊はもう時間の問題だろう。
 満鉄のワンマン経営者が部下を首にした。だが、もう社内で列車の運行をコントロールする技術を持つ技術者は、彼しかいなかったのだ。社内はいっそう大混乱におちいる。
 それから暫くして、ぼくはもう一度満鉄の本社を訪れた。ぼくを入れてはくれないのではないかと危惧したが、たまたま前回顔見知りになった頭のはげかけた男が出てきたので、「こんばんは」と親しそうに挨拶し、うまく中に入ることができた。
 もうこの会社を危機から救えるのは「98番」の女性だけだ。しかし、今彼女を切り札として使ってしまえば、もうぼくに残されたカードはなくなってしまう。

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