6月12日の夢(風呂場を覗かれる)

 お風呂に一人で入っている。自分の家ではない。入り口の右側に汚れた木製の桶のようなものがあり、周りに木切れが散らばっている。湯船はぼくの背後にあるらしいが、視界に入らない。桶の前に座り、お湯を体にかけていると、外から「Hさん、Hさん!」と呼ぶ女性の声がする。「いません」と答えるが、老人や若い女性など5,6人がさらに「Hさん、Hさん!」と呼ぶ。「いませんよ」と答え続けるが、みんな中に入ってきて、きょろきょろとHさんを探す。

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6月6日の夢(朝食で占い)

 農家で暮らしているぼくと妻は、毎朝、自分の食べた食事でその日の運勢を占っている。ぼくは今朝石臼の上の粉を食べたが、妻は隣室で石臼の上のトンビを食べた。妻の朝食がとてもおいしそうなので、明日はぼくもそれを食べたいと思う。トンビを食べる部屋には素敵なBGMもかかっている。

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5月25日の夢(エリザベス女王の来臨)

 今日は会社にエリザベス女王が訪れる日だ。いつもは閑散とした社内が今日だけは人でいっぱいで、山手線の車内のように混雑している。ぼくは女王には興味がなく、ひたすら自分の仕事の方が大切だと思っているので、人波を押し分けてコピー機を探すが、見つけることができない。しかたなく奥の壁際で人々と共に女王を待つことにする。
 そのとき通路の向こうから美しい青いものがやってくるのが見えたので、「女王がやってきた!」と思うが、それは何か青い奇妙なものに過ぎず、女王ではなかった。
 いつのまにかぼくは一人になっている。老人や中年の女がかわるがわる「お前の日頃の言動は問題だ!」とぼくを非難し、首をしめたり、さまざまな暴力をふるってくるが、ぼくはけっして彼らには屈しない。

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5月22日の夢(行列のできる床屋さん)

 床屋の順番を待っている。フローリングされた待合室にはたくさんの椅子が置かれ、真ん中に赤い花が壺に活けられている。その花の向こうは待つ人たちで満員だが、こちら側にはがらんと誰もいない。ぼくは一人だけこちら側に、みんなよりちょっと立派な椅子を置き、待つことにする。
 中古の青い四角の浴槽をネット・オークションに出品することになった。浴槽はゴミだらけなので、「院長」と呼ばれる初老の男とぼくと二人で懸命にたわしでこする。オークションには売り手であるぼくら二人も買い手として参加している。ライバルたちがどんどん値をつり上げてくるので、これでは負けてしまうと判断した院長は「21,000円」と叫ぶ。ぼくは、それでは元の値段で買い戻すだけではないかと思う。
 自宅にいて「ご飯ですよ」と声をかけられる。同時に隣の床屋からも、ぼくの順番が来たと呼ばれる。後ろ髪を引かれる思いで、ぼくは床屋へと向かう。

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5月17日の夢(喫煙会社)

 勤めている原宿の会社に出勤しようとするが、あるべき場所に会社がなく、出勤することができない。
 会社に入ってみると、新任の社長がいた。長老詩人のI氏である。社員たちは知らない顔ばかりだが、タバコを吸っている男がいて吃驚する。社内禁煙ではなかったのか。男は「会社は分煙になり、こっちから先は喫煙可なんだ」と言う。実際、社内のあちこちから青いタバコの煙が立ち上り、心臓の悪いぼくは胸苦しさを覚える。でも分煙ならまあいいか、と思う。だが、自席に戻ると隣の席の男もタバコを吸っている。こんな会社にはいられない。ぼくは激怒して、I社長に抗議に行こうとする。

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5月14日の夢(スーパーの周年記念日)

 実家のそばの丘の上に建つスーパーの何十周年かの記念行事に招待された。もうすぐぼくはこの土地を立ち去る予定だ。スーパーの歴史はぼくのこの土地での歴史でもあり、一角にはぼくの寄贈した子供向け絵本の図書コーナーもあって懐かしい。イベントの最後の挨拶で、そうした思いをスピーチしようと思う。
 楽屋でスピーチの準備をしていると、老人がにこやかに近寄ってきて、ぼくに縦長の四角い桶のようなものを手渡す。中には傘や棒のようなものの三点セットが入っており、ぼくへの餞別らしい。
 しかし、イベントはぼくのスピーチなしに終わってしまい、ぼくは衝撃を受ける。ぼくを送り届けるバスが出るからというので、ぼくは大慌てで急な崖道を駆け降りる。石段というより岩山を転げ落ちていくようだ。気がつくとさっき贈られた餞別もどこかへ行ってしまい、バスもぼくを残して発車してしまいそうだ。

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5月2日の夢(ヴァーチャル・ワールド)

 会社で卵料理を作った。皿を探すが見つからないので、とりあえず左のてのひらに乗せる。オフィスは真ん中にデスクが並び、壁際はすべて食器棚である。居合わせた同僚たちも探してくれるが、その食器棚にはぼくの料理にふさわしい皿が一枚も見当たらない。
 その日、新しい社長が就任した。なんだかヤンキーのような男で、信用できないが、ぼくともう一人の男性社員とともに、新しいクライアントにプレゼンに行こうというので、しかたなく従う。クライアントのオフィスのあるビルの階段を上りながら、ぼくは名刺を忘れたことに気づいて、社長に言う。だが彼は「ぼくも今日来たばかりだから、そんなもの持っていないよ」と、にべもない。
 いよいよプレゼンが始まった。それはぼくが今まで見たこともない、ヴァーチャル・リアリティの世界だった。クライアントのオフィスは一瞬にして、ファンタジックなアニメ映画のような世界に変貌する。驚愕しているうちに、プレゼンが終わると、ヴァーチャルの世界で活躍していたキャラクターの二人は、実は顔などに特殊メイクを施した実在の男たちであることが分かる。ぼくの質問に二人は、「リアルな人間が混じっていた方が、ヴァーチャルの世界がよりリアルになりますから」と照れながら説明する。
 会社のデスクに戻る。ぼくはとっくに定年を過ぎているが、まだ「Pの本」の編集長を続けなければならない。何の企画も取材もしていないが、果たして次号が発行できるのだろうか。隣のデスクにY社銀座店の店長だったK氏が座っていて、「〇〇という町でぼくは……」という話をしている。ぼくは驚いて、「その〇〇にぼくは住んでいるんですよ」と話しかける。しかし、〇〇という名前の町は全国にいくつもあるので、別の町の話だったかもしれないと気づき、彼に勘違いの詫びを言う。彼もとまどった表情でぼくを見返し、二人の間でちょっとした沈黙の時間が流れる。

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4月15日の夢(企画書紛失)

 会議室で半世紀前に早稲田詩人会の会員だったT氏、先輩女性詩人のKさん、それに中年の子育て研究サークルの知らない女性たちと、子供たちのためのパーティーの企画会議をしている。前半の会議はぼくのリードでスムーズに進んだが、後半の子供たちのためのゲーム企画のテーマになったところで、テーブルの上の書類の束の中に、せっかく準備したぼくの企画書がないことに気づく。書類の一番上にあった下書きを一瞥し、女性たちは「面白くないわね」とにべもなく言う。そして部屋の別のテーブルに場所を移し、自分たちの企画書を手前みそに面白がりながら、どんどんプレゼンしていく。ぼくは必死でテーブルのあちこちに置かれた書類の束を探し回るが、ぼくの企画書は見当たらない。テーブルからTくんやKさんもそっと席を立って、部屋を出て行ってしまった。ぼくだけが屈辱感にまみれながら、一人で企画書を探し続ける。

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4月13日の夢(荒野の中の劇場)

 劇場の地下にあるバックヤードを歩いているうち、四方を青い壁に囲まれた小部屋に迷い込む。壁以外に何一つない部屋。振り返ると、自分の入ってきた入り口が見当たらない。驚いて戻ると、入り口がすっかり壁に溶け込む仕組みになっているのだ。この部屋に誰かを誘い入れて、殺してしまうこともできるなと思う。自分が出入り口を見失わないように、赤のボールペンで丸印をつける。
 地上に出てみると、そこは丘の上に立つ一軒家だった。自分が元いた場所に戻ろうと歩き出したものの、スポーツセンターの敷地に迷い込んでしまった。男性のインストラクターが体操の指導をしているところで、彼の体にぶつかってしまい、「すみません」と謝罪する。
 会社へ通勤するためのバス停が遠くに見える。そこまでは起伏に富んだ荒野が広がっているが、ぼくは突然空に飛びあがり、地上すれすれを低空飛行で、あっという間にバス停にたどり着く。
 バス停には小劇場の次回の公演プログラムが置いてある。誰かが「〇〇さんのためにこれを持っていくの?」と尋ねる。ぼくは、そうだ、それがぼくがここに来た目的だったんだと思い出し、「そうだよ」と答えると、プログラムを一枚手に取って、やってきたバスに乗り込む。

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4月2日の夢(サンマ)

 大きな窓から日のさんさんと差し込むオフィスだが、教室のようでもある。若い男女の同僚たちとランチを食べているのだが、ぼくにはご飯の器しかなく、おかずの皿がない。白い皿がいくつも並ぶ中に、一つだけサンマが一匹載っている。きっとあれがぼくのお皿だろう。「それ、ぼくの…」と言うと、女性社員の一人が「あらあ残念。余っているなら、私が食べようと思っていたのに」と笑う。
 そのとたん、ぼくは自分がズボンをはいていないことに気づく。デスクの下からごそごそと新しいズボンや上着を出して身に着けるが、みんな原色の黄色でなんだか派手なものばかりだ。そういえばベルトが切れたので、古いズボンを脱いだのだったと思い出す。新しいベルトは編み編みのもので、なかなかかっこいい。ズボンもうまくはけて、意外におしゃれな自分に変身した。
 服を身に着け終わり、さあランチを食べようと思うと、さっきのサンマが見当たらない。みんな素知らぬ顔をしている。結局、食べ損なったみたいだ。

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