ぼくはアナウンサーである。新人の女性アナが入局してきたので、その指導をすることになった。大きなベッド用マットを洗濯しようとする彼女に「それは用務員のおじさんにやってもらえるよ」と声をかける。
テーブルの上に何冊も台本を並べ、いかにも仕事をしているふうを装いながら、ぼくはランチを一人で食べる。
同僚の男性アナが大きな黒いモニターで「カバが何かをするのを撮影に行くミッション」を確認するのを見ている。これはみんな過去の話だと思っていたが、実は現在の話だった。
ぼくはアナウンサーである。新人の女性アナが入局してきたので、その指導をすることになった。大きなベッド用マットを洗濯しようとする彼女に「それは用務員のおじさんにやってもらえるよ」と声をかける。
テーブルの上に何冊も台本を並べ、いかにも仕事をしているふうを装いながら、ぼくはランチを一人で食べる。
同僚の男性アナが大きな黒いモニターで「カバが何かをするのを撮影に行くミッション」を確認するのを見ている。これはみんな過去の話だと思っていたが、実は現在の話だった。
急いで病院へ駆け込む。病院は緑豊かな場所にあり、屋外に椅子を出して診察が行われている。白衣の医師は芸人のОだ。少し離れてナースが二人着席している。いずれもベテランらしい。
ぼくは白い薬袋を二つ手にしており、そのうち一つについて「これは早く治すための薬ですよね」と医師に尋ねる。それは正しいらしい。だがもう一つについてはぼくの考えていた薬と違うようだ。医師はナースに向かい「あれ、あれはもう調べがついたのか? そうだったら教えてよね」と言い、「ああ、俺はもう分からなくなっちゃったよ」と頭を抱える。
幼稚園で何か問題が起きたらしく、保護者会に行く。出席者の中でぼく一人だけが老人である。受付で書類と共に黒いピストルを一丁ずつ渡される。殺傷能力はないという。
会場の部屋はモダンに改装されており、壁や床をもぞもぞ動物や虫たちが這いまわるマッピング映像が投影されている。子供たちには虫の映像が気持ち悪いのではないかと心配だ。反対側に大きな窓があり、とても美しい風景が見える。だがそれはいきなり消えて、白い壁になる。窓と見えたのもマッピングされた映像だったのだ。こんな高価なシステムがなぜ幼稚園に必要なのか、疑問に思う。既に会議が始まっているが、会場が奇妙な形にねじ曲がっていて、ぼくの席からは司会者のいるステージが見通せない。
いったん外へ出て、別の集会室に移る。奥の一段床のせりあがった席に、一人の荒くれ男といっしょに腰かける。そういえばピストルをどこかへ忘れてきた。そのピストルを誰かが使って殺傷事件を起こし、ぼくが忘れたせいだと罪を追及される記事が、ぼくの顔写真と共に夕刊に載るのを想像して、不安になる。探し回ってふと気がつくと、ぼくの持っていたナイロン袋の中にちゃんとピストルは入っていた。ほっとして集会室へ戻る。
広間に布団を敷いて寝ている。ぼくのほかに有名な芸人が一人寝ている。いったん部屋を退出し、戻ると芸人が二人に増えている。妻にそのことを自慢したいが、電話番号が分からなくなる。
動物園で動物たちがひどい扱いを受けているというので、取材に行く。プールの中でカメラマンが水中カメラを構える。助手がプールの中の昆布を棒で叩くと、昆布は空中をマントのように翻り、カメラマンの頭にすっぽりとかぶさる。
山道で大きな蛇が通行人に襲いかかる。その後ろにいたぼくにも飛び掛かってきた。それを別の人が棒で叩き殺してくれる。ぼくはそれを撮影しようとするが、カメラのストロボが電池切れで写せない。
某社のオフィスの前に立つ。昔よく仕事で訪れたオーディオ事業部のドアだが、見るかげもなく汚れて打ち捨てられた感じだ。ちょうど人が出てきたので「あの、ここはステレオの事業部ですか?」と尋ねる。相手は「そう。吉村くん?」と問い返す。ぼくが吉村という担当者を訪ねてきたと思ったらしい。慌てて「いえ、違うんですが」と答える。
学校のような建物にいるが、ここはぼくの勤めている会社だ。たくさんの人が働いている。ここでたった今、貝殻を使った殺人事件が起きた。ぼくは警察と協力して捜査を進める。カメラマンのUに証拠品の貝殻の撮影を依頼する。
女性編集者がぼくに「外国人アーティストの〇〇さんと詩人の△△さんのコラボのとき、△△さんはどんなコメントをしたのですか」と訊いてくる。ぼくは「さあ、現場にいなかったから、知りませんね」とすげなく答える。もしかして彼女の言っているのはさっきSNSで見た動画のことかもしれないと思う。
自宅の玄関ドアを閉めようとすると、それを閉めさせまいと沢山の動物たちが石のかけらのようなものを手にして邪魔をする。大きなものは犬、小さなものは毛虫のようなものまで、みんなでドアをこじあけようとするのだ。ぼくは必死でそれを押しとどめ、なんとかドアを閉めることに成功する。
会社に行くと営業部長のMが「話がある」とぼくを廊下の片隅に呼び出す。その途中、擦れ違いざま経理の女性がぼくに交通費の入った封筒を手渡し、「まだあるんじゃないの?」と訊いてくるが、「いやもうない」と答える。Mは「今きみの抱えている仕事がひと段落したら、パイプオルガンの資料を作ってくれないか」と打診してくる。「今、オルガンといえばインフィニティのことですよね」とぼくは答える。
そこで夢が途切れ、ぼくは会社の外に出て電車に乗る。電車の中に乗客の姿はほとんどなく、かわりにこの鉄道の職員たちがいっぱい乗車している。奇妙なのは彼らがカーキ色の戦闘服のような制服を着ていることだ。
駅で降りると、そばに鉄橋がある。水害の痕が生々しい。地元の人々と共に「ここまで水が来たんだね」と話し込んでいると、足元の黄色い水溜まりがどんどん大きくなってくる。どうやらコンクリートから湧き出してくるらしい。パイプオルガンの資料を書こうとしていたぼくは、慌てて手にしていたマウスを水に落としてしまい、ジューッという音がする。ああ、これで一巻の終わりかと思う。
自宅にいると地震が起きた。家がつぶれるほどではないが、かなり大きい。飛び出そうとして、客人のG氏がお風呂に入っているところだったのに気づく。「大丈夫か?」と声をかけると、浴室から「大丈夫」と返事があった。
家の前の川べりの空き地に、川底をくぐるトンネルを抜けて避難する。近くの何人かの住民たちも集まってきた。やがて川の下のトンネルをくぐって、向こう岸から何年も会っていない人たちが、こちら岸を訪れるようになった。
ロシア行きの飛行機に潜り込んだが、搭乗券を持っているわけではないので、床に膝をついて隠れている。周りのシートに着席している乗客たちの視線が気になる。幸い見とがめられないうちに飛行機は離陸した。乗務員に見つからないよう、こっそり前方の空席に座る。しかしなんともいえず居心地の悪い椅子だ。
乗客たちの噂話に耳を傾けると、「ロシア産の米と称して売られているものは産地偽装で、本当は日本の国産米なのだ」という。ということは、こないだ義弟が送ってくれたロシア産米も偽装米だったのかと思う。