ユーモアの話

 恋人であれ夫婦であれ親子であれ、たとえ単なる同居人であっても、共同生活を営む人が持っていてほしい、最低、かつ絶対の条件は、人によって様々だろう。 私の場合、それは「ユーモア」である。「だじゃれ」はあまり好きではない。 鈍いのか、真面目すぎるのか、すぐ笑えないのだ。「ユーモア」の場合は、記憶の中に大事にしまっておいて、お気に入りを時々思い出し、クスッと笑って元気を出す。 ずっと悩んでいることの中には、笑っても解決できない問題もあるけれども、笑うと、何だかたいしたことじゃなく、解決できそうな気がしてくる問題もあるから不思議だ。
 最近の絶品は、「永遠のマリア・カラス」の中にあった。 マリア・カラスの長年の友人でもあるプロデューサーが、晩年の彼女の映画を撮ろうとする話だ。 映像は現在のまま、声は絶頂期のものを使って。 カラスも承諾して、莫大な費用をかけて「カルメン」の撮影が行われた。 にもかかわらず、全て終った後、カラスはフィルムを破棄してくれるよう彼に頼むのだ。 やはりこれはまやかしだわ、と。 彼は「正直者は困るよ」と言った後、やや間を置いて、「他に欲しいものは? 僕の腎臓? それとも肝臓?」と言う。 これにはまいった、、、ギリギリの瀬戸際でこんな言葉を言える人、尊敬します。   

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