水引きが、たどたどと伸び、節のところどころに、紅いものが目立ち始めた。
水引きは、ごくありふれた蓼科の植物で、日陰に群生する。小さな花弁のように見えるのは、実は萼で、上から見ると紅く、下から見ると白いところから、紅白の水引きになぞらえて、名前がついた。上下白いものもあり、「ギンミズヒキ」と呼ばれ、それはそれで品格がある。
葉は両方尖った楕円形で、我家のものには黒斑があり、皆、そういうものかと思っていたが、ないのもあるらしい。墨でひと刷毛のせたような、その「徴」は、どんな小さな葉にもついているので、早めに見つけ、庭中に蔓延るのを防いでいる。
群生している水引きには、連なった緑の葉に黒斑が散り、紅い点線がリズムを作って、「集団」としての美しさがある。しかし、一、二本採って、黒い籠などに活けると、何とも凛とした空気を作る。「か細さ」は、個として存在する「強さ」をも、伝えてくれるものだ。
秋も深まると、萼の下が膨らんで、実がつき、燃えるような紅になる。
枯れる直前の水引きは、やることをやり、充ち足りて、もう「か細い」とは言えない。
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