ポーランド

 1月下旬、ポーランドに行ってきた。 今回は、5年ぶり2度目の旅で、「森」を見たいと思って出かけた。 着いた日に寒波が来て、飛行機は雪のため2時間半遅れて着いた。  最も寒い時期に何を好きこのんで、というところだが、雪国生まれの私は、かすかな興奮と共に、冬のポーランドを満喫した。 
 
 ワルシャワ郊外には、カバテイーという落葉樹の森があり、人々は運動のため気軽に出かける。 赤ちゃんは乳母車に、幼児は橇に乗せられて、お年寄りは杖をついて、延々と続く樹木の中を歩く。 雪に縁どられた樹木たちの間から、陽射しが差すと、雪の上に長い影ができる。
 対照的に南部山岳地帯、ザコパネには、針葉樹の森がある。 林立する巨大な樹木たちに囲まれて、私は瓶の底から眺めるように空を見上げた。 しっかりした靴と、できたら、ストックを持っていく方がいい。 身体の奥の汗ばむような熱が、冷たい外気によって一瞬に冷めていく。
 ワルシャワ─クラクフ間は IC という急行列車が1時間に1本は出ているので、それに乗っていく。黒々と点在する農家や樹木の他は、ずっと雪の平原が続く。 まさしくポーランド( ポーレ:平野、畑)だ。 その同じ世界がクラクフ─ザコパネ間の長距離バスに乗ると、山岳地帯特有の立体的な風景に変わり、これもなかなかいい。
 このような風景になぜこんなに惹かれるのか、と思うのだが、、、、雪と樹木に限定された世界の下に、様々な人々の暮らしや時間が封印されている、ということに関係するのだろうと思う。 私は、色と形が限りなく自由に解放されているものより、「不自由さを背負ったギリギリの表現」の方に惹かれる。 絵画や詩にとって、モラルを壊すことが宿命だった時代を経て、極限まで解放し尽くされた表現の中に、私達は何を見ているのだろう?
 

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