ノドボトケ

  ノドボトケ
この世には
恋の歌が多すぎる
あの世には
ノドボトケが唄うコトノハ ひとつ
だから君に
僕のノドボトケをあげる
あの時、巻き戻したかった言葉も
現実に瞼を閉じて噛み砕いた真実も
裏切られたと早とちりして流した涙も
解りあえた二人だけの賛美歌も
全部全部ここに呑み込んであるから
僕に嘘をついて悔やんでいるなら
この骨を少しかじって下さい
僕が言葉を発することが出来なくなっても
このノドボトケには
君の欲しかった無声の僕が
たくさん
たくさん
つまっています
もし僕がいなくなって
哀しくなったり
淋しくなったりして
眠れない夜には
ちょっと、かじり
ちょっと、かじり
してください
君は口下手な僕の本音をかじっては
笑っちゃうかも
呆れちゃうかも
驚いちゃうかも
トキメいちゃうかも
そして僕は
叱られちゃうかも
この世には
恋の歌が多すぎる
あの世には
ノドボトケが唄うコトノハ ひとつ
流行歌(ハヤリヤマイ)の「愛してる」より
君と紡いだ「恋」ひとつ
誰かの彼女(あなた)になる君へ
残せる物は
喉仏(ノドボトケ)

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