首輪

首輪
貴女の乳白色の肌が
白い陶磁器になる古城
鼓動を奪われ
口唇からは渇いた声
覚えたてのおねだりのポーズをとりながら
熟れすぎてたぎった舌を差し出した時
私は微笑しながら赤ワインをその胸に滴らせた
愛玩物の哀願の表情で
錆びた教会の十字架に背を向けたまま
私たちは祭壇で獰猛に交尾し
所有の刻印を
身体中に散りばめた
月が七度巡っても
飽きることなく
お互いに貪り続けて、廃墟の風景に鮮色をおとした
嘲笑いながらキリストの血を飲んだのは
余りにその食感が
貴女の性器に似ていたからだ
人間に生まれ感情を憎む貴女よ
ならば、ここで再生し私の鳥籠の中でだけ啼けばいい
囚われ人の優越と
夜の悦楽を捧げよう
まずは貴女に似合う
黒皮の重い首輪を裸体に纏いたまえ
染み込む汗と涙と唾液が愛証の印
首輪は
貴女の自我を締め上げ貴女は美しく覚醒する
気が狂うほどの法悦とともに
いづれは四肢全てを拘束し
私だけのビスクドールに作り替えてあげるから
今は素直に 言えばいい
誓いの首輪の世界に飢えていると
光の眩しさなど もういらないと

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 01_掌編小説 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です