ヌード

ヌード
ヌード
これは多分私が貴女に贈る残像
見栄もなく
ステータスも持たず
金もなく
あるのは
恥じらいの表情 舌足らず
ブラのはずし方さえぎこちなく
スカートの下の黒のガーターベルトに
顔をうずめて舌を這わせると
月に花は咲いた
君は人間にはじめて抱かれたのだと言い
私が初めての人になったのだと
小さく 笑った
あれから幾つもの夜を重ね
嘘を纏い
偽りの口付けを交わし
狡猾な詐欺詩を耳元で囁き
罪悪感は欲望のはけ口に手を結び
簡単に身体を暴く盛りのついた狂犬に
君は追い詰められた
別れ話など何百回繰り返しても
お互いを求め 二人は腐敗し死んでゆく
逢えなくなった今
真実が胸に問いつめるのは
初めての夜の白すぎた二つの裸体
向き合った二人は纏うものすら見つからなくて
おそろしいほど素っ裸だった
これからは貴女に贈る最後の残像
魂なら あの世に呉れてやる
愛する女(ひと)よ
最後の願いだ
私が死体になったら
ピエタのような一枚の夢たずさえて
あの夜のまま 逝かせてくれ
これが愛に向き合った裸の残像である

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です