散歩道

散歩道
人は死んで名を残す
鹿は死んで皮残す
だからお前も何かで名を残せたらね
と、母が言うから
そんなことしなくても 私はお母ちゃんのこと忘れへんのに
というと母は黙って泣いてしまった
二人が黙って泣いたのを知っているのはお月様
つないだ手が温かく力強いので
私は ちょっとだけ
長い二つの伸びた影に
このまま死んでもええやろか
なんて尋ねたくなったっけ
未だに忘れられない散歩道
母に今 そのときの握力はなくても・・・

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