パンドラの罠

パンドラの罠
髪の毛 手の平 唇から媚薬
まばらな光
神が死んだ約束の日
繋いだ手には錆びた鎖
君の心臓の匂いは赤い薔薇
一輪挿しに飾れば
世界は涙に濡れた
未来が邪魔になる日
背中の翼をもぎ取り
肉体の門全てに鍵を差し込む
氷点下の眼差しで
引きずり出された残酷さが
君の舌を咬みきる
溶け合う口腔の内には
血と蜜が放り込まれ
君はプランツドールから
聖母へ再生し
僕は子宮の中のミルクの海に
沈んで逝く
愛とは
ともすれば
アラクネの企み 雛罌粟心中
パンドラの箱は沈黙を守り
二人は「 」を奪われたまま
黄泉路を振り返ってしまった

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