ゆりかご

ゆりかご
私ににさしのべられた手のひらは
真っ直ぐな炎をひた隠しに冬の枝先に結んで
泣きわめく子を起こさぬように
ただ その為だけに
今 彼は手のひらに釘を打つ
彼は
子供が泣かぬように
泣かぬようにと
静かに温かくゆりかごを
揺すり続けるので
流れる血が静寂を押し拡げ
大地は活火山を失い
ぶつかるプレートはなく
宇宙は子守唄にみたされた
ただ
マグマのような鼓動だけ
泣く子を
眠らし揺らし
あやし続ける
彼の手にはまだ釘が刺さったままなのに
ずっとずっと
深淵なる夜の淵を揺らし続ける
世界は血と涙に呼応し
いつしかそれを
神は
「優しさ」と
名付けた

tukiyomi について

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