渇き

渇き
鼻水と痰が
喉に流れ続け
夜中に目覚めれば
あの人は
フィラリアに侵された咳を
静寂に響かせながら
私を責める
もう一人は血統書付きのパグ犬
散歩をねだる声は掠れて
身体を横たえて
垂れ流し
犬は命が行き詰まり
金で命を量ります
餓えた涙声を聞き取ります
熱と汗に苛まれる夜から
逃れるように
食べ物を漁ると
ラッピングされた骨が
空っぽのはずの冷蔵庫から
徐々に崩れていきます
風邪薬が餌のように
見えた秘密
知っていたのは
アオミドロ色の
ペットポトル
私たち全員
仲良く死にます
お願いですから
どうか
お水を 一杯
ください
死ぬ前とその後に

tukiyomi について

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