蝕まれた夜

蝕まれた夜
黒いガーターベルトで手を縛めて
薔薇の蕾で身体を奏でて
そして命令してください
(決して声は出すな)
と。
闇に浮かび上がる二つの脚を手折るように
こじ開けてねじ込んだ舌から
赤いスティグマ KISSは疵痕
死に神に抱かれた夜
快楽の目眩 意識は剥離 記憶の錯乱
忘却(レテ)河に沈み 溺れ続け
破れた鼓膜から オフィーリアの歌を聴く
貴方は海底に隠した私の柘榴をむしゃぶり続け
その底をなぞりあげる
私の声は地上の果ての貴方の本当の名を
呼び続けることでしょう
その声すらも私を嘲笑する右上がりの貴方の
口角にふさがれて
私は達しながら窒息死を
余儀なくされるがままの奴隷裸婦
悲鳴は忠誠の証
どうぞ 今宵
私を貴方だけの診断室へ
私を全て捧げます
どうぞ隈無く 膣(なか)を
お調べ下さい
光も射さない密室で
優しい拷問部屋の檻の中
十月十日
貴方に似た子を宿すまで
私を どうか赦さないで
赦さないで・・・・
夜はまだ
はじまったばかり・・・・

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