眼光

眼光
あなたは言葉を探す
本棚の深い森に
真昼を横切る猫の瞳に
君は主張を述べる
褪せた選挙ポスターに
迷い犬の張り紙に
人々は見つめ続ける
車に敷かれた猫の白目
保健所に運ばれる野良犬の陰り
私たちは詩を綴る
滲んだ万年筆のインクから
本当に伝えたいのは
青い涙
眼のスクリーンに焼き付けられた
日常化する赤と黒を
鋭利な刃で記録する
行間の隙間に想いを折り込み
文字に祈りを託してみても
ペン先から滲んだ染みが
じわじわ波紋を投げかける
それぞれに与えられた質問用紙
青いインクは「空」を描く
胸にインクを滲ませて
私たちは寂しく停電するだろう
それでも遺さずにはいられない
記憶の森に沈まない太陽
夕映えをに轟く雷鳴
稲妻のような瞬き
全ては
見開いたままで

tukiyomi について

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