喪失

喪失
真夜中の蛍光灯が爛々と輝く頃/あなたはマンホールから地下道を通って/笑顔を貼り付ける/まるで今日一日を全て伝えたい新聞と広告を抱えて/上半身を伸ばし下半身は溝水につかったままで/昼を訪ね歩く
その悲しみを溶かしたように/空が涙を流す/痛みを堪えた靴底が/鈍色の音を発する度/愛に濡れた大地が/枯渇したあなたの瞳を/優しく覆うだろう
黒い喪服を着た少女が/白い錠剤を手渡して/あなたにこういうのだ/あなたの目には一雫の希望のカタチもない。ただあるのは肉体に時間があるだけだ。/と
あなたは/ばらまかれた/一粒の絶望に/征服され/どんどん/白くなり/透明になり/やがて/見えなくなる

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