「嘘がまことでまことが嘘で…」
昔の誰かの舞台のセリフを
僕は何度も繰り返しては
嘘の言葉を川岸に並べて
石を積んでいる
或いは意志という頑な
もろい正しさを壊したり創ったりして
シナリオみたいに並べてみては
まことしやかな 嘘に 罪悪感の印しを
川辺の石に刻んでいる
その意志が 君に届くように
或いは 届かないように
胸の内すら確かめられずに
言葉は千年先の虚構に隠されたまま
僕の描く世界に 君を
連れ去るにはどうしたらいいか
伝えるインクの色すら
セピアに褪せて消えていった
「嘘がまことでまことが嘘で…」
何度もその言葉を
石に刻んで叩いてみても
君の「秘密」を暴けないのは
君が 川辺で
バベルの塔くらいの高さで
その石たちを積み上げて
僕は いつの間にかブロックされていた
(暗い塔の中で嘘をついて泣いていたのはどっち?)
川辺の石の印しを文字の形にして
君に当てはめようと
あるはずのない 「真実(まこと)」を探しては
僕は さまよい続ける
言葉を無くしたままで
目を閉じたままで
光があったことすら
知らなかったようにして

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