欠けた器

欠けた器
ひともじで 簡単に ひび割れた くちびる
から あふれる あかい水を なめると
うみのそこから 潮の苦さが 
しみる
温度を識るとは あなたと 
コトバを 交わすこと
で なければ
わたしの今日の動脈があゆみを とめて
青いいろの静脈になって排出されて逝くだけ
おんなの胸の隙間に 寝息をたてる
おとこの墓が いつでも欲しいのです
墓標は
夜にあふれ
朝にぬれて
昼にかわく
  洞窟に
    海底に
      岬に
くちびるから 注がれた ひともじで
簡単に あなたを 壊してみたくて
わたしは 欠けた器に 私を盛る

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