S

寡黙から 泣き止まないS
誰かに救ってもらいたいS
オムライスを掬うスプーンを 手渡すように
救いを手渡して 掬って食べることができる
Sの始まりから終わりへの 繋がり
救われないあなたに 救って欲しい 私がシンクロして
向き合うことの大きさに 比例してゆくS
誰もが知っている街の 誰も来ることのできないお店で
私たちは銀河系の言葉で 星の名をオーダーして食べる
一番美味しかった蠍座のアンタレスの 赤い心臓を
フォークで突き刺して 私たちは食べた
皿の上には赤い毒まみれの オムライス
 すくえないね・・・と、あなたは言った
 うん。すくえない・・・。と、わたしは呟いた
無限大の真似を 横向きでしたかった S
でも 
スプーンは転がってしまって 横たわったまま
迷宮入りに なってしまった
饒舌からはみ出して 戻れないS
繋がらない途切れた距離にいるのに
あの時 スプーンを手渡したかったのは
救われたいSに 私の心臓を すくって、
食べて欲しかったからかもしれない
 銀河鉄道に乗って 二人
 カムパネルラの 後ろ姿を
 見かけた話がとまらない
(話に釣られたS、話に吊るされたS,)
ああ、センチメントに向き合う 二つのエスよ
その話が 有限な街のレジのなかに収まって
誰にでも買われてしまうことは
もう とっくの昔に 知っていたのだけれど

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です