「鬼」。。。

歩く。歩く。。
歩いても。歩いても。。ピリオド。。。
真夜中の買い出し 捻挫した足で歩いても 恵方はない。
八方塞がりな時は天が空いている、と、
見上げた闇夜は 三日月の薄笑い。
私の見えない陰の部分を 時折擦れ違う車が
引き伸ばしては 引き殺して 逃げて行く。
歩く。歩く。。
後方からついてくる涙の粒。。。
私の姿を切断する横断歩道 白と黒の非情な厳しさ。
(こんな時間に家族に巻き寿司を。
(こんな時間に鬼退治。
(オニハ、ウチ、 オニハ、ウチ、
引き殺された私の影が呪え、と、指差す方向に 家族。
(お父さんが 眠れなくて暴れてる。
(お母さんが 泣いて 臥せってる。
(オニハ、ウチ、 オニハ、ウチ、、
歩く。歩く。。
交番に駆け込んで 「お巡りさん」、と、小声で呼んだ。
お巡りさんは パトロール。
締め切った家々の 巻いた豆の数をかぞえるために。
(節分には冬と春の隙間から 鬼がでるからね、、
歩く、すぐ前を 広報板に張り付いた 指名手配の鬼の首 無言。
ふるさとには、鬼がでるよ、
止まらない句読点のような接続詞、スマホからは、 声、声、声、
(怖いから田んぼに埋めてしまえ。
(こんなものを持っているから 私は便利に生きてしまう。
(コンナ、ベンリ、ナ、オマモリ、ヲ、
スマホのお墓に 御線香をたてて 水をまいて声がなくなると
私の両肩にのしかかる 不安。
(家には巻き寿司を待つ家族、
(豆を持って帰れば、それで私は、退治されてしまう。
背中の荷物が カタカタ 鳴る。
私が背負っているのは 何、
私が持っているのは、
私は 何、、。
(オニハ、ウチ、オニハ、ウチ、、オニハ、、、、

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