生きたいと願う父が死んだとき死にたいと思う私が産声あげる
サヨウナラサヨウナラって粉になるでんぷんみたいに翔ばされる骨
肉体の元素記号を燃やしても軽くならない質量 タマシイ
立ち上る狼煙のようなお線香まだここにいるまだここにある
この歌もこの歌も手向けるには早すぎた旅立つ父に春雨が降る
薄桜漆黒桜紅桜一斉に啼け一生に泣け
若き葉に季節奪われはなびらは紅の業を風に手渡す
学園門くぐり抜けて春は逝く桜並木は瞼の裏に
いろどりの傘に落ちる涙雨つられて連れられて思い出が通る
つなぐ手や背丈の高さのぬくもりは追いこせないの いつまでも父

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