哀歌

たくらみを実らせた花はもう、少女ではない
女になれば脆弱な季節から嫉妬だけを学ぶ
かなしみ、は 夜を壊し牙をむく
いつも、淋しい姿で佇んではいない、と
教えてくれた あなたの沈黙は深く
ふたりの声は共鳴を忘れた
互いが互いの詩の上に成り立つという証は
世の中から見れば、文字にできない言い訳に過ぎない
(腹を満たすのではなく、胸を浸すのです)
その声を聴かせてくれた人は
夏の交差点を渡り終えたあと 秋の分岐点で
わたくしのお腹から一本のたくらみの赤さを見て
歳月を嘆いた
忘れていた言葉を思い出しても 
時の残骸だけが 別れを奏でつづける
行く宛のない詩が 冬の風に浸される度
思い出だけが指先を赤く滲ませ
掛け違えた記憶がふたつ 青い海に流されていく

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