汚名/恋人の変換

片付けられない部屋に
終われない言葉が散らかって
絶句。
「。」とは、簡単に収納されてしまう私の居場所 
膝を抱えて座り込めば 隙間から立ちのぼる私の苛立ち
そこからはみ出でくる消化できない炎を 自分で眺めて
火事になる前に 悉く鞄に詰めていく、
また、苛立ちが おもい、荷物になる
服と下着は登山用リュックに詰めて
食器やコップは全自動洗濯機でまわして
私の頭は冷蔵庫で冷やしながら
本棚に役に立たない言葉を並べていく
この部屋には何も咲かない
恋人が使用人に変換されてから
名前は 響くことを忘れてしまった
私は片付けられない部屋に 片付けられていく
毎日、毎日、すり減っていく 私の名前は
トイレットペーパーの「カラカラカラ」になった
白く長い舌は 虚ろな声を発しながら
昼間の採光を巻き取り 夜の濃度に舌を出す
ホワイトボードに書かれた誰かの名前
丸い文字のその人は
窓辺から外され ひっくり返され 
呼ばれることなく 片付けられて
拾った者の名札や切り札になった
((→ 「。」ここ。/まだ、ここにいるのに。
     → 「。」ここ。→ /まだ、/→ 。ここにいるのに。))

檻の中に、ピリオドがあるだけの、「。」

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