夜の石

夜、池に石を投げた人がいて
石に私の名前が書いてあったと噂した
池に波紋が広がって
石を投げたのは私だと
池は被害者面して 波風立てた
 (名前が書いてあるそうじゃないか
 (お前の名前のようにきっと汚い字なんだろう
池に呑み込まれた 証拠品
私の意志だという 物品
私はいきなり池に沈められ
口がきけなくなった
夜、池は口を開いて
私を沈めた、と
石を投げた人に報告すると
投げた人は 静かに嗤った
(samusing24  掲載作品)

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です