ぬけがら

ぬけがら
蝉時雨の森で
命がけの優しさに
胸を射抜かれる
繁華街の林で
初めて出会う声に
頭を撫でられる
海辺の見知らぬ駅で
いつか私の描いた絵を
見つけては暖色系の色を混ぜる
デジャブのような旅を
繰り返しては
私は春夏秋冬を生きてきた
言葉に
出会いに
秋雨が降り続く
頑なな蛹は
やわらかくなって
人づてに破られていく
私は
黙ったまま泣いた
透明になったぬけがらに
降り注ぐ雨は
殼をまあるくつつみこみ
私の季節を
真っ白に再生させた

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