時計

時計
デジタルの数字が夜を呼ぶと
充電切れの私が点滅して
茜色に染み込んでは 暗く沈んでゆく
あなたの数字の一の位置に
私のI(アイ)が点りますように
精密に絡む歯車のように
ぴったり合わさった
私たちを急かす息使い
黎明ががひそやかに
射し込むと点滅する時間とあなた
タイム・オーバーな千夜一夜は物語
とれないワイシャツの皺を共有しながら
革靴とヒールの差くらいの短針と長針が
駅のホームから遠く見えた
ヒールの先にあるため息が
流れる車窓に自分の顔を映す
満員電車のポスターは
振り子のようにゆれていた
私は街で充電器をひとつ買い込み
独り部屋の時計を眺める
(タイムリミッツト)
独り部屋に秒針の声が突き刺さる
やさしい嘘をつきながら
奥様にただいま 
と 挨拶するあなた
ねぇ
あなたの時間は今何時?

tukiyomi について

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